- ギターと木の関係性
- 材質として木が使われる理由
- 木材の名称がたくさんある理由
アコースティックギターやヴァイオリンが『木』を使って作られているのは木材の音の鳴りを最大限に生かした構造をしているからですが、
エレキギターは、ピックアップを使って音を出力しているので、実際は木材に限らず、金属でもプラスチックでも紙(耐久性があればですが)でもエレキギターになるんです!
それでも『木材』を使って作られることの多いエレキギター。
エレキギターと木材の関係性について掘り下げてみましょう!
ギターに木材が使われる理由
まず木材のメリットを見てみましょう!
- 加工しやすい
- 見た目(杢目)が美しい
- 値段が安い
- どの地域でも手に入りやすい
- 軽い
- 重量の割に強度が高い
これだけのメリットが存在するんですね!
①加工がしやすい
遥か昔から木材って使われていますよね?昔の住居や建築物だって木材を切って作られています。そんな時代にのこぎりやカンナなどがなくても簡単な道具さえあれば加工して家が完成できるので、木材は重宝していたのです!
②見た目(杢目)が美しい
今でも、木そのもののデザインって人気ですよね!テーブルとか食器とか!それはデザインが良いからですよね。ギターにも同様に木材の雰囲気を残したものも人気が高いです。
③値段が安い
これは貴重な材も多いので一概には言えませんが、木材と同じ量の金属を用意するとなると金額が高くなるのは明白ですよね!価格の割にも強度も高いので木が一番コストパフォーマンスが高いのです。
④どの地域でも手に入りやすい
木って広く分布しています。東京にも北海道にもアメリカにも。環境は違えど同じ種類の木材が育っている確率は高いです!また材料として確保するにも、十分すぎるほどの量が世界にはありますので、困らないのがいいですね!(最近は森林伐採してほしくないですが…)
⑤軽い
木材って圧倒的に軽いです。水にも浮くものも多いですし、ギターで使うには重量がありすぎても重いだけですので、軽いに越したことはないですよね!
⑥重量の割に強度が高い
⑤でも言った通り、軽い!なのに強度もあるんです!
指標の1つに『比強度』と言うものがあります。比強度は強度を重さで割った値を示しており、高いほど重量の割に強度があるということになります。
鋼鉄が比強度400~1200なのに対し、木材は1600~2800とかなりの比強度を誇っているのです!
もし木材ではなく金属やプラスチックでギターを作った場合、
金属では重量が重すぎて、持っているのが辛くなったり、プラスチックでは耐久性が低くて、弦の強度に負けすぐに壊れてしまいます。
その点木材は、上記の通り『軽い!強い!安い!』の3拍子が揃っている神材料なのです!
中には存在もしますし実際作ることは可能ですが木材が一番選ばれる理由はここにあるんですね!
しかし木材にもデメリットは存在します。
①湿度や温度の影響を受けて変形してしまう。
ギターに対しての一番のデメリットはこれです。
木材は湿度や温度の変化に対応しようとして、膨張したり収縮したりします。これが原因で、ネックが反ってしまうことは良くある話です。実際、我が国日本は気温や湿度の変化が著しいため、他の国に比べると比較的影響が大きいのです。
しかし、ネックの反りは『トラスロッド』と言うパーツで解決できます。反りやすい環境の日本だからこそトラスロッドは欠かせないものかも知れません。
②1つの木材でも統一性がない
『木』と言うのは、金属やプラスチックと違って人の手で作られたものではなく、自然から生まれたものです。1つの木の中の繊維にも強弱があったり、中が腐っていたりと予期もしない事も起こりえます。
十分な木材に対する知識がないと加工するのは難しい部分も少なからず存在するのです。
木材は特徴によって使い分けることができる
木材は建築などにもよく使われていますよね!建物も頑丈性が一番大事です。重量に気を付けなくていい分、鉄骨なんかも導入されていますが、やはり木材を使った建築は多いですよね!
建築の中でも、木の種類を使い分けていたりします。
耐久性のあるヒノキは土台に、木目がまっすぐでねじれにくいスギは建具に、経済性の高いマツは梁など、木材にも様々な特徴があり、それに合った用途で使えるのもまた1つのメリットです!
それはギターでも同じことで、強い耐久性が必要なネックには強度のあるメイプル、ギターの外見になるボディトップには杢目の美しいマホガニーなど、適材適所の木材を選んで使えるんですね!
ギターに使われる木材の名称
樹木の名前って1つの木の種類なのにたくさんついていたりするんです。
例えば日本で言う『松』。
その中でもギターでよく使われるのは『スプルース』と言うマツ科トウヒ属の針葉樹です。
日本語の中でも、大きく見ると『松』ですが細かく見ると『米糖檜(ベイトウヒ)』と言う名称になります。
それだけでなく、『スプルース』には、『シトカ・スプルース』『ヨーロピアン・スプルース』『ホワイト・ウッド』など名称がたくさんあるんです。。
なんでそんなに名前がついてしまうんだい?
と誰もが疑問に思うのではないでしょうか?名前が多ければこんがらがってややこしくなるだけですからね。
木材の名称がたくさん存在する理由
それを解決するキーワードは『同じ木が世界中にある』ということです!
何となく想像ができたのではないでしょうか?つまり1つの木でも日本での呼び名、アメリカでの呼び名、イギリスでの呼び名が存在してしまうこともあるんですね!
木材の産地が違えば、それぞれの名前が付いていることが多いです。
それだけでなく、木材を輸入した際にその国に存在しない木材だった場合、分かりやすくするために類似した種類の名称で呼ばれたり、作業の便宜上に名前が付いたり、木材の価値を高めるためにあえて別の名前を付けたりすることが多いのです!
そりゃ木材の名称が膨れ上がっていく理由もわかりますよね笑
ご覧いただきありがとうございました。
コメント