ギターには木材が使われているのはご存知ですよね?
では木材のどの部分がギターに使われているかわかりますか?
木の中でも、切り方で現れる木目は大きく異なります。
木材の断面図の構造
◆髄(ずい)
かつて『芽』であった部分は木材の中心にあり成長してからは『髄』と呼ばれます。
ここは木の中でも細く柔らかい部分になります。樹心とも呼ばれます。
◆樹皮(じゅひ)
木の一番外側の部分を『樹皮』と言います。木はどんどん大きく長くそして太くなっていきます。(年輪が太くなっていく証です。)樹皮のすぐ内側の細胞が分裂することにより木は成長していきます。人間でいう皮膚の役割ですね!中身を守っているのです。
◆年輪
木には『年輪』があるのは有名ですよね。木の成長と共に増えていく層のことで、切り口の年輪を見れば、その木の年齢や時期ごとの環境まで分かってしまいます。
年輪を見れば方角が分かるというのは実は間違いです。「年輪の広がっている方が南側」と言う説が話題になりましたが、木の年輪は木の体重がかかっている方に広がります。つまり広がっている側=木の体重がかかっている側なのです。
人は南側の斜面で生活することが多くそこの生えた木は南側に傾いていることが多かったため、南側に年輪が広がることが多く勘違いが生まれたそうです。
断面図から分かるギターに使いやすい材の見分け方
さらに木材の断面図からはギターに使いやすい部分を見分けることもできます。
☟まずこの断面図を見て下さい。
中心と外側で大きく色が違っていますよね?ここがポイントなんです。
中心側の色の濃い部分を『心材』や『赤身(あかみ)』
外側の色の薄い部分を『辺材』や『白太(しらた)』と呼びます。
(ギター業界では両者とも後者の赤身と白太の呼び方で呼ばれることが多いです。)
この2つの違いは「含まれている水分量」です。
赤身部分は、木の骨の役割を果たしており、水分が少ない。
一方白太部分は木の成長に必要な水分を根から葉に送る役割を担っています。つまり白太部分は多くの水分を含んでいるのです。その分虫も付きやすくなってしまいます。
木材として使用する際に水分が多いと耐朽性(腐りやすさ)に問題がでてきます。
つまりギターに使用するなら水分量の少なくて耐朽性のある(腐りにくい)『赤身』の方が向いていると言えるのです。
ちなみに赤身と白太は最初から区別があるわけではなく、木の成長に伴い白太から赤身へと変化していきます。
木が成長する理由
先ほどもちらっと細胞分裂の話を出しましたが、木も生物なので細胞から成り立っています。少し難しく言うと『生物の成長=細胞分裂による増殖』になります。
繰り返しになりますが木は樹皮のすぐ内側の細胞が分裂し成長します。1つあった細胞が2つになると分裂機能はそのどちらかにしか引き継がれません。木で言うと外側の細胞に機能が引き継がれまた分裂を繰り返し大きくなります。
もう1つの機能のない細胞はやがて成熟→死亡→材となります。
成長した時期による材の名称の変化
分裂活動は、1年中行われるわけではなく季節によって変わってきます。
春~夏に分裂して成長した部分を春材(早材)
秋~冬に分裂して成長した部分を秋材(晩材)と言います。
細胞の形 | 色 | 細胞壁 | |
春~夏(春材) | 大きい | 薄い | 薄い |
秋~冬(秋材) | 小さい | 濃い | 厚い |
木材の表面に現れる木目(もくめ)とは?
ギターでも家具で木製の物ってデザインが良いですよね!その見た目を左右しているのが『木目(もくめ)』です。《木理(もくり)とも呼ばれます》
『木目』とは材の表面に現れる細胞の並びや組織の状態のことを差します。つまり年輪や材についた傷や空洞、節など、木の状態すべてが木目ということになります。
木目は木材をどう切ったかによって現れる木目が変わります。木が生えている向きのままと見て縦に切るか、横に切るか(最初の写真のように輪切り)で年輪との位置関係も変わってくるので当然ですよね。
ギターなどに使う木材では木を縦に切った方をよく使います。木目が上画像のように縦に入っている感じですね!横に切ると輪切りになるので、年輪や髄が見える切り方になります。
柾目と板目とは?木材を切る位置で木目が変わる
木材は切った場所によって木目が大きく異なります。
たとえば上の中央付近(上画像左側)で切った木目は下画像の左側のような感じに
外側(上画像右側)で切った木目は下画像の右側のような感じになります。
上画像左側のように綺麗に縦線が出ている木目を『柾目』
上画像右側のように丸みを帯びた木目を『板目』と呼んでいます。
柾目の方が、反りや収縮などの狂いが少なく重宝されますが、数出しても使える量が少ないためコストが高くなってしまいます。
板目は、表と裏で収縮率が異なるため扱いにくいのが難点です。
ギターに欠かせない杢(もく)とは?
ギターと木の関係で一番重要と言っても過言ではないのが『杢(もく)』です。
『杢』とは木目の中でも特殊で装飾性の高い模様のことを呼びます。(漢字違いで杢目(もくめ)と言ったりします。)
杢が現れる原因と杢の名称
杢が現れる理由は木が病気にかかっていたり、環境が大きく変化していたり、汚れがしみこんだりすることにより様々な模様となって木の表面に現れてきます。
しかしある程度形の規則性はあり、その形や模様によって名称が細かくつけられていたりします。
縞模様で虎のようなタイガーストライプ(虎杢)や鳥の眼のような丸があちこちにあるバーズアイ(鳥眼杢)、汚れや変色が原因のスポルテッドなど紹介しきれないほどの杢が存在しています。
最近の安いギターでは、実際の杢でなく印刷した杢が使われることも多いので杢が気に入っても本物か確認してみてもいいかもしれません!
ご覧いただきありがとうございました。
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