- ピックアップセレクターの種類
- コイルタップの仕組み
- ピックアップを切り替えるメリットデメリット
- ピックアップの位置(フロントやリア)でなぜ音が変わるのか
ピックアップセレクターとは
ほとんどのエレキギターがピックアップを複数基搭載しています。そして鳴らすピックアップを自由に選択できる機能がエレキギターには備わっています。
それを可能にしているのが『ピックアップセレクター』。ピックアップが複数付いているメリットはこのピックアップセレクターが握っていると言っても過言ではありません。
1基しかピックアップが付いていない場合は、出せる音は1つしかありませんが、ピックアップが2基付いたものは出せる音が2つ以上に増えバリエーション豊かになります。
(ちなみにピックアップの数え方の単位は1基2基と数えます。)
ピックアップは、付いている場所によって呼び分けられていて、上から
ネック側(上)
フロントピックアップ
センター(ミッド)ピックアップ
リアピックアップ
ブリッジ側(下)
単順に、場所を英語で名付けただけですね!
フロント(前)、センター(真ん中)リア(後ろ)の意味です。
ピックアップが2基しかないものは、真ん中の意味のセンターが抜け、『フロントPU』と『リアPU』だけになります。
カチカチカチと鳴りながら動かすことができるセレクターは、しかるべき場所で止まるんですがその止まれる回数がギターの種類にによってまた違ってきます。
またピックアップの種類によっても動き方や特徴は異なっていきます。
ストラトとレスポールのピックアップセレクターの種類
先ほど止まれる回数が違うといいましたが、スイッチ自体が全くの別物になります。
今回は主流のストラトタイプとレスポールタイプをご紹介していきます。止まれる回数と名称も変わってくるので合わせて覚えておきましょう!
トグルスイッチ(3点式セレクター)
『トグルスイッチ』はレスポールタイプについている3点式のピックアップセレクターです。
3点式とは3回止まる所(3種類PUを鳴らせるパターン)があるよ!ということになります。
トグルスイッチのトグル(toggle) は「同じ操作を繰り返す」という意味です。本来は2つの状態(ON/OFF)を切り替える意味で使われますがギター用語では3点式でもトグルという言葉を使っています。
後述しているストラトタイプとは付いている位置も異なり、コントロールノブの近くではなくボディの左上、フロントピックアップのすぐ左上側くらいについています。
◆レスポールタイプのピックアップの動き方
トグルスイッチは、(例:2ハムのギター)
『フロント』 『フロント+リア』 『リア』の3種類をセレクトすることが可能です。
ファイブウェイレバースイッチ(5点式セレクター)
『ファイブウェイレバースイッチ』はストラトタイプについている5点式のセレクターです。
レスポールタイプとは違いコントロールノブのすぐ近くに配置されています。
◆ストラトタイプのピックアップの動き方
5点式セレクターは、(例:3シングル)
『フロント』 『フロント+センター』 『センター』 『センター+リア』『リア』
の5種類がセレクトできるようになっています。
『ピックアップセレクター』というのは総称で、その中にまたトグルスイッチやファイブウェイレバースイッチなどの種類が分かれているのです。
そして今回は例にシンプルなシングルとハムをそのまま鳴らすタイプで説明しましたが、ハムバッカーにはややこしく変化する鳴らし方が存在します。
それが『コイルタップ』です。
コイルタップとは?
『コイルタップ』とはハムバッカーの片方だけ鳴らす技術です。
ハムバッカーというのはシングルコイルピックアップを2つ並べたような見た目をしています。実は見た目だけではなく実際に2つ並べたものがハムバッカーと呼ばれているのです。
そしてハムバッカー(2つあるシングルコイルピックアップ)のうち片側のシングルコイルPUだけを鳴らすのがコイルタップです。
例えばハムシンハム(HSH)のギターの場合、5点式セレクターを動かすと図(下)のようにハムの片側だけ鳴らす所が入った動きになります。
これを『タップ』(コイルタップ)と言います。
片側だけ鳴らす技術のことをタップというのであって、上の図の鳴らす移り変わりをまとめてタップというわけではありません!
コイルタップの仕組みとメリット
コイルタップの仕組みは中の配線がキーになってきます。ピックアップというのは電気で動いていますので配線を繋いだり、アースに落としたりしてON/OFFを切り替えています。
アースとは電子レンジや洗濯機を設置するときに絡んでくるアース線と同じようなものです。感電防止や電磁波の防止などの役割があるアース線ですが、ギターでもアースに落とすことで電気を0にできると思っていただければわかりやすいかと思います。
ハムの一個目と二個目の配線の間にタップ線というのを入れてコイルタップを実現しています。
コイルタップのメリットとしてはハムバッカーを搭載しているけれど、
2個のうち1つしか鳴らさないので、シングルの音に近い音がハムバッカーのピックアップから出せるということです。
※あくまでシングルの音に近づくだけです。
多少のハムキャンセル(打ち消し)は起きますがノイズは出やすくなります。昔は、ハムならハムのみ(2ハム)シングルならシングル(3シングル)のみが主流だったので、
コイルタップ付きなら、両方の良いとこ取りができるんですね!
しかし、本家との音の違いはやはり出てきます。
そこも個人の好き好きなんですが、初心者目線で見ると「ハム、シン、両方のサウンドを試したい!」って方にはちょうどいい代物かもしれません。
セレクターでPUを切り替えると何が変わるのか
ピックアップセレクターでピックアップを選択できることはわかったけれど果たしてどのような効果があるのでしょうか。
ピックアップの鳴らす位置を切り替えると変わるのはやはり『音』です!ギターの音は本当に些細なことで変化していきます。弦の材質や太さ、ボディの木材、ネックの木材や反り具合、ピッキングの強弱など、色々な要素が混じり合い1つの音を奏でているのです。
ピックアップの位置も同じで場所によって音に違いが出てきます。
『フロント側のPUは柔らかめの音、リア側のPUは硬めの音』がします。
柔らかい音とは、バッキングやギターソロに向いた音で、温かみのあるほんわりとした音が出ます。
硬めの音とは、歪ませたりするのに向いており、クールでパキっとしたような音が出るんです。
セレクターがあれば1つのギターで演奏の用途によって使い分けることができるのです!
ではなぜピックアップの音がフロントとリアでは違うのでしょうか?
実は全く同じピックアップを使っていても音は変わるんです!
なぜピックアップの位置で音が変わるのか
フロントとリアに全く同じピックアップを取り付けていても音が変わる理由はフロントとリア、別々の場所についているからです!単純なようでこれが真理なのです。
先ほども言いましたが音は繊細なので、細かな変化や影響を受けて変化していきます。
そしてPUの音が変わる要因は2つ
- PUの位置とピッキングした場所(力が加わった場所)との距離が異なる
- PUのポールピース(弦振動を拾う所)の上を通る位置がずれる
この説明ではわかりにくいと思いますので、もう少し詳しく言うと・・・
◆第1の理由
PUの位置とピッキングした場所(力が加わった場所)との距離が異なるから
PUが拾うのは弦振動ですが、やはりピッキングの場所から近いほど弦振動は激しく、遠いほど弱くなりますよね!(すごくすごく微妙な差ですが…)
その強弱ですら、音にも影響を与える要素になるのです!
◆第2の理由
ナット側の弦の幅とブリッジ側の弦の幅は違いますよね?
ブリッジに向かうにつれて弦の幅は広くなっていきます。
それによってほんとに若干ですがPUのポールピース(弦振動を拾う所)の上を通る位置がずれるんですね。
フロント側はポールピース上に弦があるけど、リア側は、外れちゃってますよね!(これはあくまで極端にした例ですが…)
これにより、拾う音に差が出るのは理解できたでしょうか?
この2つの要素が合わさり、同じPUでもフロント側とリア側に音の差が生まれるのです!
ピックアップの使用例
でも実はフロントPUとリアPUが別のピックアップを使っているものもあります。
それはより明確にフロントPUとリアPUの音の差を際立たせたいからです!
たとえば、同じPU『A』というのがあるとしましょう。
フロント側につける『A』は柔らかめの音を出したい
リア側につける『A』は硬めの音を出したい
そのままつけても音に違いは出ますが、もっと音の違いを明確にしたいとなるとコイルの巻き数を増やしたり、減らしたりして音を調整します。
元は同じPUですが、柔らかい音が出るように巻き数をいじったフロント用PU『A1』と
いじってないリア用PU『A』が出来上がるのです。
ピックアップの使用例には3種類存在します。
最初に説明した全く同じPUを使用するパターン
次に説明した元は同じだが巻き数が異なりフロント用やリア用に調整されたPUを使用するパターン
そして元のPU自体が完全に別物でフロント用のPUとリア用のPUを使うパターン
つまり『A』『A』と『A』『A1』と『A』『B』と言うパターンですね!
ちょこっとセレクターをいじるだけで、音色に変化が起きるなんて、
面白いですよね!
これによって、ぐーーんと、演奏の幅は広がったんじゃないでしょうか!
細かいパーツの役割を覚えると、どんどん試したくなっていきますよね!
自分のギターでもたくさんいじって音の変化を試してみて下さい!
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