- ギターネックのジョイント方式の種類
- デタッチャブルの特徴
- スルーネックの特徴
- セットネックの特徴
- オールアクセスジョイントとは
ギターやベースなどの楽器は、大きく分けるとボディとネックの2つの部品に分かれています。
その2つを繋ぎ合わせて1本の楽器が完成しているのです。そのボディとネックを繋ぎ合わせることを、『ジョイント』と呼んでいます。
この『ジョイント』に種類があり、またメリットデメリットも違ってきます。
ではジョイントとはどのようなものでどんな種類があるのか見ていきましょう!
ギターネックのジョイント方式の種類
ボディとネックを繋ぎ合わせることを『ジョイント』と呼び、さらにボディとネックを固定している部分のことも『ジョイント』と呼びます。
ジョイントとは日本語に訳すと、『繋ぎ目』や『連携』の意味がありますのでそのままですね。
そのジョイントの方式は3種類に分かれていきます。
- デタッチャブル(ボルトオン)
- セットネック
- スルーネック
このジョイント部分の作りが違うだけでもギターの音には影響が出てきます。ギターを構成するパーツの中に音に影響しないものを探す方が難しいかもしれませんね!
ではその特徴とメリットデメリットをそれぞれ見ていきましょう。
デタッチャブル(ボルトオン)
『デタッチャブル』別名:ボルトオンが今一番ポピュラーなジョイント方式です。
デタッチャブルの仕組み
デタッチャブルの仕組みはボディに『ネックポケット』と呼ばれるネックを入れる溝を予め作りそのネックポケットにネックをジョイント(入れ込んで)して、ボルトで固定する方式です。
この方式は組み上げた後でも、何度でも取り外しをすることができます。ボルトで固定しているだけなので、ボルトを回してあげると簡単に外すことができるんですね!
『デタッチャブル』とは文字通り、英語で『detach(切り離す)』『able(~できる)』という意味になります。ギターの種類の中ではストラトなどに多く用いられている方式です
ネックとボディが取り外しが可能なことにより、生産もネックはネック、ボディはボディで生産し、後から接合すれば良いので作業効率も大幅に向上しました。
また、ネックが破損した場合でもボディと切り離すことができるため、ネックのみ新しいものに入れ替えるだけで良くなります。
しかし『ヒール』と呼ばれるジョイントの裏側の部分にボルトがあることでハイポジション(ネックのブリッジ側の高い音程のフレット部分)を弾きやすくする加工がやりにくくなってしまうのが難点です。
また強い衝撃が加わるとネックが動いて、センターズレ(ネックがずれてしまうこと)を起こしやすいのが、大きなデメリットです。
これはとても分かりやすくセンターズレしてますね↓↓↓
フェンダーのアメリカンヴィンテージストラト、センターズレしとるやん。
某S村楽器やけど pic.twitter.com/P208rC33Ca
— 内藤(偽名) (@tobenaihito283) January 19, 2016
センターズレとは弦とポジショニングマークを見たときに中央にない状態のことを指します。
↑上記画像だとポジショニングマークが気持ち4弦側に寄ってしまっているのです。
本当なら3弦と4弦のど真ん中にあるのが正しい姿なんです。ネックが正しい位置でしっかり固定されていないことが原因で衝撃により傾いてしまうのが取り外し可能なジョイント方式のデメリットになります。
センターズレを起こすと何がいけないのかと言うと、弦が演奏している時に指板から弦が落ちてしまったり(弦落ち)、ピックアップと弦の位置関係も微妙に変わってきますので音にも影響が出てきてしまいます。
~デタッチャブルのまとめ~
【特徴】
- デタッチャブルとは『detach/able】(切り離すこと/~ができる)
- ボルトで固定している
【メリット】
- 取り外しが可能
- 修理の際にボディとネックどちらかがだめになっても代替すれば治る
- 生産効率の向上によりコストを抑えれる
【デメリット】
- ハイポジション(ネックのジョイントに近い所)の加工がしにくい
- 接合が完璧ではないため、衝撃に弱くセンターズレを起こしやすい
- ネックとボディの接合が甘いため振動がうまく伝わりにくい
セットネック
『セットネック』は昔から使われてきた伝統的な方法で、今でも使われていることは多い歴史の長い方式です。先にこちらがジョイント方式として存在し、後からデタッチャブルが生まれました。
セットネックの仕組み
ネックポケットを作り、入れ込むまではデタッチャブルと全く同じですがネックとボディを完全に接着する方式です。
デタッチャブルではボルトで固定していた部分を完全に接着しているのです。
デタッチャブルとは違いジョイント部分を完全に接着しているおかげで、ハイポジションを弾きやすく加工をしても、ジョイントが甘くならないのが特徴です。それだけしっかり接合されているのです。
そのため、デタッチャブルで起こりやすかったセンターズレも起こりにくくなっています。
ボディとネックの密着性が高いため、ネックに伝わるわずかな振動もしっかり伝えることができるので、より木材本来の鳴りを楽しむことができます。
~セットネックのまとめ~
【特徴】
- ネックとボディを完全に接着
- 見た目は滑らかで繋ぎ合わせた感がなく美しい
【メリット】
- 密着性が高いため、振動がより顕著に伝えられる
- 衝撃にも強くジョイントが強い
- ハイポジションの加工をしてもジョイントが甘くならない
【デメリット】
- 同時に作り1本1本固定しないといけないため生産効率が悪い
- ネックとボディどちらかに不具合が出ても取り換えができない
スルーネック
『スルーネック』は、名前の通り、『スルー/Through(貫いた)』ネック。
スルーネックの仕組み
先ほどまでのジョイント方式とはまるで異なり、ネックがボディエンドまで伸びており、そのサイドに木材を貼り付けてボディを形成する方式です。
サイドに貼り付けた木材のことをネックに羽を付けたようなさまから『ウイング材』と呼びます。
ネック部分が長いため反りやすくなってしまうので、反りにくいように頑丈性をあげるため、ネックの木材には『プライウッド』がよく使われています。
『プライウッド』とは、合板のことで1つの木材ではなく複数の木材を繋ぎ合わせることで頑丈性や耐久性を向上させた木材のことです。
スルーネックで、プライウッドなのが分かりやすいのが上画像のようなものです。
これはIbanezのBTBシリーズ(ベース)ですが、ネックがボディエンドまで到達しており、ネックの真ん中に2本線が入っているので、プライウッドと分かりやすいですね!
~スルーネックのまとめ~
【特徴】
- ネックがボディエンドまで貫いている
- ネックにはプライウッド(合板)がよく使われる
- 端材をウイング材と呼ぶ
【メリット】
- 通常のジョイント部分もネックの一部なのでハイポジの加工性◎
- センターズレも起きない
- 振動がとても伝わりやすくサステイン(音の伸び)が良い
【デメリット】
- ネックが極端に長いためネックがより反りやすい
- 生産にも高い技術が必要になるため価格も高く設定されてしまう
デタッチャブル(ボルトオン)の種類
実はデタッチャブルの中にも種類が存在していて2種類に分かれています。
この2種類の違いはジョイント部にプレートがあるか、ないかです!
各名称がついており
- オールアクセスジョイント(プレートなし)(ネジのみで固定)
- プレートジョイント(プレートあり)
と呼ばれます。
ヒールの加工がしにくいで有名なデタッチャブルですが、
プレートを失くしたオールアクセスジョイントの方は、加工はグンとしやすくなりました!
プレートを失くしたことによるデメリットは??
プレートの有無で頑丈性に違いは生まれません!
ただし、柔らかい木材をボディに使っている場合、ボルトがめり込んでしまうので、プレートを使った方が、ボディへのダメージが少なくて済むのです!
デメリットといいますかボディのことを考えるとプレートがあった方がいいんです!
ボルトの本数も、4本だったり3本だったりしますが、
加工精度が高いほど、ボルトの数は少なくてもよくなります。その分、ボディに与えるダメージもすくなくなりますし、ボディ内部に不純物(この場合はボルト)がない方が木材の鳴りはよく鳴りますので少ないに越したことはありません。
ご覧いただきありがとうございました!
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