ギターやベースには、鮮やかな色をしたものや、木の模様が前面に出ているものなど、
見た目にもメーカーによってオリジナリティーがあり私たちの目を楽しませてくれますよね。
その塗装にもデザインだけではなくいろんな目的があり、音の鳴りが良くなったり、耐久性の向上、肌触りの変化など、塗装が与える影響も大きいんです。
そんな塗装について掘り下げていきましょう!
ギター塗装の種類
ギターのボディの塗装には、大きく分けて3種類の塗装方法があります。
- ラッカー塗装
- ポリ塗装
- オイルフィニッシュ
最初は名前だけ聞いてもピンとこないですよね。それぞれの特徴を見ていきましょう。
ちなみに、ドラムのフィニッシュ(一番上に施される塗装のこと)にも、ラッカー塗装や、オイルフィニッシュは使われています。違う楽器でも同じ塗装方法が共通して使われているんですよ。
ラッカー塗装
『ラッカー塗装』とは『ラッカー』という塗料を薄く塗りつけるスプレー式の塗装方法です。
1950年~60年代にfender社やGibson社、またビンテージの古いギターなどによく用いたことからはじまりました。昔に比べると今は圧倒的に数が少なくなってきていますが、未だにいろんなメーカーからラッカー塗装のギターは出て来ています。
ラッカー塗装は湿度や温度などの影響を受けやすく、スタンドなどのゴムと一定時間接触しているだけで、化学反応を起こしてしまい黄ばんだり、変形してしまう非常にデリケートな塗装です。
また、制作時もポリ塗装に比べると乾燥までに時間もかかるため生産効率が悪くなってしまうんです。なので大量生産することができず、価格が高騰してしまいます。
ですが、極めて薄いその塗装は「木材が呼吸する」ともいわれ、木材の変化を楽しめるといわれています!木の鳴りがよく、クラック(ひび割れ)ですら、アジのある塗装に見せてしまう塗装なのです。
靴もギターもクラック入って一丁前 pic.twitter.com/Konr2RUy6i
— 雨降 一重 (@uwant_whenever) February 13, 2018
ポリ塗装
3種類の中では一番用いられている塗装方法です。
世の中に出回っているギターのほとんどがポリ塗装だと思ってもらっても大丈夫です。
先程はラッカーという塗料を使っていましたがポリ塗装は服やペットボトルにも使われている石油が原料のポリエステルやポリウレタンなどを塗料として使っています。
ラッカー塗装は薄く塗りつけていましたがポリ塗装は厚く塗りつけるプラスティックタイプの塗装方法です。
一度硬化したら変形しにくい特徴があるので耐久性、汎用性が高く硬化するまでの時間も短いため大量生産に向いています。
硬化した後に多少ぶつけても、傷が入ることはありません。
しかしあまりに強い衝撃が入ると塗装自体が割れてしまうことがありますのでご注意ください。
割れてしまうと完璧に治ることもありますが、新旧の塗装が馴染まずスジが残ってしまうこともあります。再塗装した感があるのは嫌ですよね。。
楽器を大事にするのは当たり前ですが、再塗装のしやすさを頭に入れておくとより意識して注意することができますね!
大量生産に向いているポリ塗装ですが実は塗料自体はラッカーよりも高価なんです!ではなぜ大量生産に向いているのか。
ラッカーのが価格が高い原因は作業の難解さと、効率の悪さなんですよね。。どうしても時間と人の手間がかかってしまう分、価格は高騰してしまうのです。
さて厚めに塗ることがポリ塗装の特徴ですが、「そんな厚く塗ったら響きを損なうんじゃない?」と思いますよね?
でも大丈夫なんです!
塗装面もボディの振動を受けて一緒に振動してくれるので、厚く塗っても音にさほど影響は出ないのです。
ポリ塗装の種類
先程ポリ塗装にはポリウレタンとポリエステルがあると言いました。では軽く両者の違いを見てみましょう!
ポリウレタン
エレキギターの塗装の中で最も、ポピュラーな塗装方法です。
ウレタンはどちらかと言うとラッカー寄りで、ポリエステルに比べるとそれほど厚くは塗りません。
ポリエステル
初心者用の、安価なギターに多く使用されています。
非常に暑い塗装が一回で得られ、硬化するスピードも速く、大量生産に向いている塗装なのです。
厚みをコントロールするのが難しいのが欠点なのとボディ重量が、全体塗装すると約300gほど重くなってしまいます。
ラッカー塗装とポリ塗装の違い
ラッカー塗装とポリ塗装の違いをまとめてみましょう!
ラッカー塗装 | ポリ塗装 | |
---|---|---|
塗装の厚み | 薄い | 厚い |
再塗装のしやすさ | しやすい | やや難しい |
価格 | 高価 | 安価 |
耐久性 | 普通 | 高め |
ラッカー塗装とポリ塗装を一目で見分けるのは困難です!
詳しく知りたい場合はお店の人に聞いてみましょう!
オイルフィニッシュ
木材に直接オイルを塗りこんで水分の侵入を防ぐ塗装技術のことです。
この塗装方法はギターというよりドラムなどに多いイメージですね!
とはいえ一般の人が塗装を剥いで、自力でオイルフィニッシュに、リフィニッシュ(塗り替え)することもよくある話だったりします。
ギターの生産工程
ギターの塗装の種類が分かったところで大まかにギター塗装の流れを説明します!!
『水引き→目止め→中塗り→着色→トップ(クリアコート)→ポリッシュ(仕上げ)』
ざっくりいうとこのような感じでギターの塗装作業は進んでいきます。
◎水引き・・・湿らせたクロス(布)などで木材を拭くことで、水分による毛羽立ちを先に起こしやすりで磨き後から毛羽立ちにくくします。これによって水分が染み込みにくくもなります!
↓
◎目止め・・・木材に砥(と)や粉をまぶし木材の目(隙間)をふさぎます。肌触りが滑らかになります。
↓
◎中塗り・・・家の塗装(下塗り→中塗り→上塗り)のように目止めや水引きをした後に中塗りをして厚みを出します。ポリサン塗料という肉持ちがよい塗料を塗っては研磨してを繰りかえします!(#400番くらいのやすり)
↓
◎着色・・・先ほど紹介したラッカーやポリ塗装を行います
↓
◎トップ(ない場合もある)・・・『クリアコート』と呼ばれる透明な液体でコーティングします。クリアコートをすることで耐久性が増し、光沢や鮮やかさが増します!
↓
◎ポリッシュ・・・いわゆるワックスです。最後にポリッシュを塗ることで、表面もつるつるになり、つやが出て汚れも付きにくくなります。
再塗装の際はタッチアップ(一部分だけ)で済む場合もあれば全塗装しなければならない場合もあるので、修理の際の費用も大きく変わってきます。
しかしギターには保証がついていますので、保証期間ないであれば無料で修理してくれますので、一度購入した楽器店に問い合わせてみると良いかもしれません。
ギターカラー塗装の名称
ちなみに
単色で塗られている塗装を『ソリッドカラー』
杢目を透かせた塗装を『トランスペアレントカラー』
と言います。
トランスペアレントは英語で透明という意味なので杢目(下地)が見える透明な塗装ということになりますね!
ソリッドは「固体の〜」や「単体の〜」という意味があるので1つの単色で塗られている色という意味になります。
ちなみにエレキギターのことをソリッドギターということがあります。ソリッドギターでいうところのソリッドは色ではなくボディの木材を指します。
ソリッド(1つの木板)で作られたギターになるのでソリッドギターです。
逆にソリッドではないギターはフルアコやセミアコになります。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ!
ご覧いただきありがとうございました!
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